講師の独り言

健康のため黒酢を飲むのを日課にしています。健康に良いからと聞きもう十数年も続けていて今では完全に習慣となっています。少し前のことですが、飲んでいた黒酢が残り少なくなってきたので次に買い物に行ったときに購入しなくてはと思っていた矢先、テレビで嫌なものを見てしまいました。

そうそれはよくある健康番組でそこで黒酢が取り上げられていたのでした。なぜ嫌かというと次におこることが容易に想像できるからです。案の状、翌日夕方、近くのスーパーに駈け込んで通いなれた陳列棚に急いで向かうと予想どおりの事が起こっていました。

そう売り切れです。それも私がいつも買う商品だけでなく健康酢と呼ばれる商品は一本残らずすべてなくなっていました。ああ、これだから健康番組は嫌いだと嘆きながらしばらくは黒酢なしで過ごさなければならないと覚悟しました。

でも経験からもう一つのことも分かっていました。それはこの現象は長く続かないということです。せいぜい2,3週間、長くてもひと月もすると元の平和で商品にあふれた陳列棚に戻ります。こういったブーム(?)は間違いなく長く続かないのです。

なぜかというと理由は簡単です。健康番組を見た人は、健康になろうと紹介された食べ物を求めるわけですが、目に見えた効果をすぐ感じられることができないので、しばらくするとやめてしまうのです。

もちろん多くの人は健康食品の効果が出てくるのに時間がかかると知っているのですが、知っていても続けるのは結構難しいことなのです。なんでこんなことを言っているかというと英語もこれと似ているからです。

英語は誰でもできるようになりますが、どうしてもある程度時間が必要です。でも多くの英語学習者は我慢できずに辞めてしまいます。それは目に見えるような成果をすぐに感じ取れないからです。

でも反論もあるかもしれません。TOEICで短い期間で100点や200点スコアを上げたことがあるとおっしゃる方もいるかもしれません。確かに英語試験では短期間に成果が表れることがありますが、実は英語の資格試験の多くは知識を問うものでこれだと結構短期間に結果を出すことが可能です。

でも実用英語で本当に必要なのは知識もさることながら反射能力といったような感覚です。わかりやすい例でいうと中学校の英語にテキストに出てくるような文章は文法といった知識を駆使すればだれでも作れるかもしれませんが、反射的に正しい発音とイントネーションで口についていうとなると別次元の難しさです。英語においてはあまり即効性を求めすぎずに腰を据えて感覚を養うといった気持ちで取り組むのが遅いようで一番の近道だと思っています。

 

 

 

自分は他の方と比較すると結構無口で恥ずかしがり屋タイプなのですが、そんな私が見ても多くの方が私と同じようになる時があります。そう、それは英語を話すときです。ある程度やむを得ないとはいえ、どうしても英語を話すとなると自信なさげになり声も少し小さくなりがちです。

少し変わったケースもあります。それは英語の発音がすごくきれいなのに、故意に日本人英語で話すというものです。実は私の娘もその一人です。学校の英語の授業の音読で指名されるとわざと下手くそに聞こえるように読むそうです。彼女曰く普通に読むと恥ずかしいとのことですが、私には理解できない不思議な現象です。

しかし先日偶然同じ電車に乗り合わせた男性は全く正反対のタイプでした。それは近鉄大和西大寺から快速急行で難波に向かう車内のことでした。いつも私は電車の中では目を閉じてじっと考え事をすることが多いのですが、その日もやはり椅子に腰かけ目を閉じていました。

時間は平日の昼ごろで、比較的電車は空いており、ところどころ空席も目立ちます。私の向かいの座席には年配の男性と中年の男性が座っており、ほとんど途切れることなくしゃべっています。話をしているのは彼らだけだったので聞くつもりはなくても会話が耳に入ってきます。

どうも二人は上司と部下のようでしたが、話題は次から次へと変わり突如若い方の男性がもう一人に向って言います「~さんは、英語ができるからうらやましいです。」それに対して年配の男性は英語はよく使っているよと応じます。

するとまさにその瞬間、私の耳に英語が飛び込んできました。”Does this train stop at Tsuruhashi?” どうも外国人観光客がこの男性たちに話しかけたようでした。少し間があった後 ”Tsuruhashi?” と年配の男性が声を発し、もう一人の男性が鶴橋は次の次ですねと言います。

確かに鶴橋はこの時点で2つ先でした。ところが何を思ったのかこの年配男性が外国人に言い放った英語は想定外の”Next!”。案の状、この外国人観光客は次の駅で降りようとします。まずいなと思ってみていると男性は車両中に響き渡るような声で”Wait!”と叫びました。ドスが利いており柔道の審判の「待て!」を彷彿させます。

さすがにこれには外国人観光客も圧倒され動きが止まりました。そして間髪を入れず”Next!”と男性が叫びます。ただ今度は合っています。その後電車は鶴橋に到着し何事もなかったかのように男性が”Bye-bye”と言い観光客が”Thank you.”と応えながら無事降りていったのでした。

振り返ってみてこの男性の英語自体には少し問題があったかもしれませんが、少なくともきちんと駅まで案内できたのは評価すべきだと思います。それにあの自信に満ちたしゃべり口は圧倒されるものがありましたし、そこまでいかなくともあの堂々とした態度は私も見習うべきだなと感じた出来事でした。