講師の独り言

自分は他の方と比較すると結構無口で恥ずかしがり屋タイプなのですが、そんな私が見ても多くの方が私と同じようになる時があります。そう、それは英語を話すときです。ある程度やむを得ないとはいえ、どうしても英語を話すとなると自信なさげになり声も少し小さくなりがちです。

少し変わったケースもあります。それは英語の発音がすごくきれいなのに、故意に日本人英語で話すというものです。実は私の娘もその一人です。学校の英語の授業の音読で指名されるとわざと下手くそに聞こえるように読むそうです。彼女曰く普通に読むと恥ずかしいとのことですが、私には理解できない不思議な現象です。

しかし先日偶然同じ電車に乗り合わせた男性は全く正反対のタイプでした。それは近鉄大和西大寺から快速急行で難波に向かう車内のことでした。いつも私は電車の中では目を閉じてじっと考え事をすることが多いのですが、その日もやはり椅子に腰かけ目を閉じていました。

時間は平日の昼ごろで、比較的電車は空いており、ところどころ空席も目立ちます。私の向かいの座席には年配の男性と中年の男性が座っており、ほとんど途切れることなくしゃべっています。話をしているのは彼らだけだったので聞くつもりはなくても会話が耳に入ってきます。

どうも二人は上司と部下のようでしたが、話題は次から次へと変わり突如若い方の男性がもう一人に向って言います「~さんは、英語ができるからうらやましいです。」それに対して年配の男性は英語はよく使っているよと応じます。

するとまさにその瞬間、私の耳に英語が飛び込んできました。”Does this train stop at Tsuruhashi?” どうも外国人観光客がこの男性たちに話しかけたようでした。少し間があった後 ”Tsuruhashi?” と年配の男性が声を発し、もう一人の男性が鶴橋は次の次ですねと言います。

確かに鶴橋はこの時点で2つ先でした。ところが何を思ったのかこの年配男性が外国人に言い放った英語は想定外の”Next!”。案の状、この外国人観光客は次の駅で降りようとします。まずいなと思ってみていると男性は車両中に響き渡るような声で”Wait!”と叫びました。ドスが利いており柔道の審判の「待て!」を彷彿させます。

さすがにこれには外国人観光客も圧倒され動きが止まりました。そして間髪を入れず”Next!”と男性が叫びます。ただ今度は合っています。その後電車は鶴橋に到着し何事もなかったかのように男性が”Bye-bye”と言い観光客が”Thank you.”と応えながら無事降りていったのでした。

振り返ってみてこの男性の英語自体には少し問題があったかもしれませんが、少なくともきちんと駅まで案内できたのは評価すべきだと思います。それにあの自信に満ちたしゃべり口は圧倒されるものがありましたし、そこまでいかなくともあの堂々とした態度は私も見習うべきだなと感じた出来事でした。